iOptron GEM45ファーストライト!

TL; DR

glasnsciです。令和2年最後の新月は、山梨で締めくくることになりました。本稿ではGEM45の使用雑感について述べます。架台にファーストライトって正しくないと思いますが、あえて言っときます。今回はiOptron GEM45のファーストライトです。

はしがき

nagahiro大顧問に誘っていただき、昨年(2019年)の春の大型連休に天の川のタイムラプス撮影してからというもの、やれKenko Skymemo R (Sm-R)が中古でやすいだの、大型の赤道儀があったほうが捗るだの、言われるがままに導入してしまってきました1。昨年の夏にSm-Rを導入してからというもの、どっぷりとディープスカイ撮影にはまり始め、135mmレンズ、Carl Zeiss APO Sonnar 135mm F2を導入。そのまま突っ走ってきたのですが、より長焦点への憧憬を抱き始め、先日本格的な赤道儀を先週導入したのでした。これでワタクシもいよいよ――いえ、ようやく「でいーぷ」な撮影を楽しめるというものです。

本稿では、遠征記録と導入した新・赤道儀の雑感と撮影結果について、簡単に述べます。

遠征地

性懲りもなく、今回も遠征先はウラシロダムです。中央道を使って一時間少々というのは破格の近さで、時間的距離にしては破格の暗さを満喫できるところです。今回の遠征のお供は、ゆたか氏(@honwari_spiral)とワタクシの実兄です。ゆたか氏からは前日に撮影のお誘いを頂きました。正直ウラシロダムは一人だと野生動物が怖いので、とてもありがたいところ。この場を借りてお礼申し上げます。

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komariyutaka.hatenablog.jp

今週は気圧の谷が前線のようになって通過して天気予報が安定しませんでした。曇り・晴れ・晴れ・曇り。また曇り。一日の中でも時々刻々と天候が変わる太平洋側では珍しい気象状況に少し目をパチクリしながら、週末は晴れるのかとオドオドしながら1週間を過ごしました。が。

結論を申し上げます。晴れました。

ただし、この日は少し怪しく、GPVの挙動は北方から雲が流れ込んでくるような様子。関東の天体写真ファンも天城に行くか、妙義にするか、千葉にするか迷っていたようでした。到着した当初はピーカンの晴れだったのですが、10分ほど経過すると北が曇ってしまい極軸が合わせられません。ここまで来て曇りかと落ち込んでいましたが、ゆたか氏が到着してから40分ほどで北天が晴れ始め、つかの間でしたがなんとか極軸をあわせられました。彼は晴れ男ですね。毎回晴らしてもらいましょう。

赤道儀使用雑感

さて、先日導入した赤道儀、GEM45についてです。GEM45の――というより比較的最近発売されたiOptronの赤道儀には電子極望iPolarが搭載されており、ラップトップで走らせるアプリケーション上で極軸を合わせることができます。同じ機能を持つものにQHYCCDのPole Masterがありますね。iPolarの特徴はなんと言っても、プレートソルビングができること。具体的な北極星がわからなくてもテキトーに赤道儀を北に向けるだけで、アプリケーションが天の北極を勝手に判別してくれるという非常に文明化されたものです。もちろん本赤道儀にも搭載されています。

これまでSm-Rで極望を覗き込み、極軸を合わせていたのが嘘のような明々白々な極軸の導入です。実際、かなり天の北極の導入は楽でした。しかし、ワタクシは過ちを犯しました。極軸を合わせ損じたのです(さっき合わせたと書きましたがあれは嘘です)。GEM45の高度、方角調整のネジ自体は非常に明白です。多分他の赤道儀と同等の構造をしていると思います。が、ワタクシはiPolarの仕様をよく知らなかったので、合わせ損ないました。

下図にiPolarでの極軸合わせの模式図を示します。プレートソルビングの結果、丸いレティクルが天の北極として示され、十字のレティクルが赤経軸の回転中心として示されます。高度と方位を調整するノブをくるくる回すと丸いレティクルが動いていき、十字のレティクルと重なると極軸合わせが完了します。このとき、ある程度極軸が一致してくると画面が拡大表示されて、より容易に赤経軸の移動がわかるようになります。やがて両軸が一致すると、それぞれのレティクルが緑色になる、という仕組みです。非常に明確です。

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模式図:丸いレティクルが天の北極、十字のレティクルが赤経軸の回転中心。左図は極軸と赤道儀の回転軸が一致していない状態。右図は一致している状態。一致すると両レチクルが緑色になる。

しかしワタクシは拡大表示されてある程度あったかな~とおもって合わせるのをやめてしまいました。合わせ方は下に貼ったYoutube動画が詳しいです。わかりやすい。

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かようにして極軸合わせをしそんじた結果ですが、なかなか良いのではないでしょうか。400mmなんて振り回せたの初めてですし、この焦点距離での露光時間5分も初めてです。やっぱり架台が大きいのは正義です。しかし、SIGMAの70-200mmは星像が素直で大変よろしいですね。テレコンを噛ませると一般的に収差は増大すると言われていますので、2倍テレコン噛ませてこの点像ならかなりいいレベルなのでは、と悦に入ってしまいます。普段は撮り鉄にしか持ち出さないこの機材も天の光を浴びて悦に入っていることでしょう。ただし大きくて重い。

IC2118 (Witch Head Nebula)
date: Dec. 12th, 2020
location: Ohtsuki City., Yamanashi Pref., JPN
optics: SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | SPORT with 2x TC-2001
camera: CANON EOS 5D Mark IV(unmodefied)
mount: iOptron GEM-45 w/o auto guide
exposure: ISO6400, f6.3, 300sec x 17frames., ISO6400

総露光時間が短いので荒れ気味です。本来は本稿ではGEM45のピリオディックエラーを検証しようと思いましたが、晴れ間の時間が短かったことや、極軸があっていなかったために次回に持ち越したいと思います。

fornax.hateblo.jp

今回はネタ記事ではないと言ったな。あれはホントだ

最後ですが、紆余曲折があってnagahiro大顧問から以下のように言われてしまいました。

また、それに対する二件のコメントも。

かのようにう言うわけでして、そういうわけで今回は茶番はありませんでした。たまに真面目な記事を書くと疲れますね。


  1. 次はオートガイドだの、冷やし中華だのと勧められていますが、やはり言われるがままに買っていくのでしょうか