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雪 (芥川龍之介)
或冬曇りの午後、わたくしは都営地下鉄大江戸線の窓に一列の山脈を眺めてゐた。山脈は勿論もちろんまつ白だつた。が、それは雪と言ふよりも山脈の皮膚に近い色をしてゐた。わたくしはかう言ふ山脈を見ながら、ふと或小事件を思ひ出した――
二日ほど以前になつた、やはり或冬曇りの午後、わたくしは或天体望遠鏡店に、――ずらり整列された鏡筒や赤道儀の前にセエル品のことにつひて話してゐた。売り場にはスカイウオツチヤアなどの決算払出品の外にはなかつた。大売り出しと聞ひて集まりしむくつけき天文仲間共も、――成程遠征地では静かな奴らすらも益荒男じみた一種の荒々しさを具へてゐた。しかしどう言ふ量見か、わたしは馴染みのボオイさんであるV氏に挨拶だけ済ませ、見るだけ見て買わずに帰るつもりでゐた……。
V氏と話してゐると話題はいつかその頃の寒気の厳しさに移つてゐた。彼は如何に遠征地の土の季節を感ずるかと言ふことを話した。ふと如何に買おうと思つてゐた鏡筒のことを話した。
「ふむん。Vさん。わたくしはシヤプスタアの20032PNTがここ1年くらい受注停止になっているのが気になっておるのだよ」
彼はすぐに、周囲の売り場を眺めまにこやかに返答した。わたくしは何ともフルトヴエングラーの指揮をみた楽団員のやうに面食らつて、ごまかすようににほひのない珈琲を啜つてゐた。けれどもすぐに心を決めたのであつた。
「買います」
V氏の返答は、こうであつた。セエルで、20032PNTが売り出されてゐる、と。わたくしはそれに何か感銘を与へられたらしかつた。わたくしは目を赤く血走らせ、近くの銀行へキヤツシユをおろし、V氏の顔にぢつと視線を注いでゐた。それからやはり空中を見たまま、誰にともなしにこんなことを言つた。――
「めっちゃおもいっす」
或冬曇りの午後、わたくしは都営地下鉄大江戸線の窓に一列の山脈を眺めてゐた。山脈は勿論もちろんまつ白だつた。が、じつはまつ白ではなくまつ黒であつた。それは山肌の黒と言ふよりも炭素の近い色をしてゐた。わたくしはかう言ふ鏡筒を見ながら、あの令和六年のセエルを思い出した。あの落合南長崎のセエルを。
まとめます
シュミットさんのセールを冷やかすつもりでいたら、気がついたら20032PNTを買ってしまいました。何が起こったかわからないです。果たして運用できるのかもわからないです。とりあえず混乱しておりますが、現場から以上です。