TL; DR
glasnsciです。去る7/2、M&Mさんの遠征に乗っかって、浄土平まで遠征してきました。ひと月以上前の出来事だよ。浄土平で撮影したのはワシじゃよ。
ぢやうどだひら (幸田露伴 穂高岳)
巌目美しき浄土平、峠には岩畳のガレ場がなだらかに続きて話し相手ももなくただ一人、少しは淋しそうに坐り居る三十前後の益荒男が侍れり。天空の聳ゆる天の川の秀美や荘厳を受取って吾が心霊の怡悦と満足とを覚える場合はおのずから二つある。一つは自分が歩きながらに絶えず変化して吾が眼前に展開し行く奇岩や峭壁や、高い嶺の雲や近い渓の水や、風に揺ぐ玉樹の翠や、野に拡がる草花の香や、火口から立ち上がる噴気の音や、然様いう種々のものの中を、天空の星々が細く尾を引いて徒巡り、吾が魂が滾転し行て、そして自分というものを以て幽秘神異の世界を縫って行く場合である。
扨て、又他の一つはそれとは異なった場合であって、前のは流星がその星容を以て自然境を縫った場合であるが、それは猶時間というものが存在している。然るに其の時間という生緩いものも無くなって、礑と自然に魂が直面して打たれた場合である。前のは動的であるが、これは静的である。前のは吾が感官や神思が働いているのであるが、これは時間が脱したようなのであるから、次第を以て動く余地も無く、ハタと衝当った瞬間に、吾が目は双眼鏡や望遠鏡を覗き看ているに相違無く、吾が耳は聞いているに相違無く、吾が魂は何物かに対しているに相違無いが、時間というものを除けば万物は静止するような道理で、吾も吾にあらず、観望対象も観望対象ならざるが如くになって、吾が魂の全部が対境の全部であり、対境の全部が吾が魂の全部であるようになり、即ち自他一如、心境同融の宗教的光景に入る場合である。それは即ちアッと云って心身脱落したようになってその神境的なディープスカイにたいした場合である。
自分の浄土平での天体観測に初めて至ったのは盛夏のときであった。郡山から土湯バイパスを経由し、其頂上まで辿ることにした。auの通信障害により、最も土地勘のあるルートを使用したためである。然しそれでも余り心も身も楽では無かった。常に道があっているのかどうか不安であった。峠は頂上に近づくに従って勾配も強くなり、路は電気形になった。また時折、鹿や熊などの野生動物の痕跡を目にするようになった。山風は寒くなった。しばらくして頂まで何程も無いというので時折車を降りてカメラを構えていると、突然として熱気の残留したるを一転して過ぐる風に目を細めた。暫くして、眼前は忽として開けた。もう自分は浄土平に立っていたのである。眼前脚下は一大傾斜をなして下っていて、其の先に泰然として対置さるる一大な原野が拓きて、さらに巍然として雄峙している一切経山と吾妻小富士は、其の壮烈儼偉な山相をムンズとばかりに示していた。ただもう巍峩という言葉よりほかに形容すべき言葉はない。眼の前に開けた深い広い傾斜、其向うの巍々堂々たる山。何という男らしい神々しさを有った嬉しい姿であろう。日は暮れて夜となつた。天空の横一文字に伸びる水平線からやもやもと立ち上る天の川を目の前に坐して、思わず知らず涙ぐましいような心持になって、危く手をさしのべたいような気がした。吾が魂に於て彼を看たのか、彼に於て吾が魂を看たのか、弁わきまえがたいような瞬間があった。実に嬉しかった。好い心持であった。
其夜、天体撮影をしながら浄土平を一晩中歩きまわったことは勿論である。それは前に挙げた吾が魂を以て夜空を縫ったのである。それも勿論嬉しいものであった。然しこの一夜一瞬は最も嬉しかったものとして永く記憶に遺った。
遠征動画
遠征動画解脱
今回の動画では、Like A Ricochet (LOVING CALIBER FEAT. MIA PFIRRMAN)という曲を使用しました。Epidemic Soundです、いつも通り。 www.epidemicsound.com
今回もそーなのかーさんからタイムラプスを提供いただきました。今回使用したタイムラプスはそーなのかーさん提供分を合わせて、全部で5本?でしょうか。多分、6分前後の動画であれば、3本あれば動画の構成上十分な気がしています。今回は撮影に張り切りすぎていて、かえって余ってしまいました。次回はタイムラプスを減らそうかと思っています。 設営の様子。Aramisさんはいつもタイムラプスの撮影に余念がなくて、感心しています。あんな丁寧に撮影するなんてわしには無理じゃ……。
この日は関東圏では局所的な雷雨が相次いだらしく、浄土平から南に見える雲は積乱雲。もりもりと空に昇っていっていました。
じつはこの日、日が暮れるまではショウジョウバエなのかアブなのかよくわからない虫がブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブン周りを飛んでいて、嫌になってました。動画の最中にもところどころ陰に陽に写っていますので、探してみてください。
やがて、夜が来て
朝が来て
総括!
行きと同じく、帰りも土湯バイパスから郡山方面に抜けて帰りました。
終わりに
Oさんを初め、いろんな方に「動画見てます」と言われて、とても嬉しかったです。遠征動画ジャンルはもっと流行ってほしいなあと思います(アドバンテージが崩れないように精進しなきゃ)。
浄土平遠征で一番嬉しかったこと:
— ぐらすのすち (@GLASnSCI) 2022年7月4日
「動画見てます」の声。
同時に、お天道様はいつも見ているんだの気分😁
あと、7月末の遠征も浄土平に行きました。動画もまだまとめていないので、完成次第後悔しますよ!乞うご期待!