NGC4631(クジラ銀河)とNGC4656(ホッケースティック銀河)

TL; DR

glasnsciです。NGC4631(クジラ銀河)とNGC4656(ホッケースティック銀河)撮影しましたので、本稿はその撮影記です。今回は画像処理盛りだくさんで、kさん提唱のGlobal Dark=0法、大顧問さん提唱のLCSストレッチ法、NiwaさんオススメのHDR MTを試しました。

をぢさん(泉鏡花

色青く光ある鯨、妖しく輝けるとて、短焦点では近づけず。その傍らには、先端が鉤状に曲がりたる銀河ありて、昔より斉眉けり。

近き頃、皐月の初旬、7日ばかり続きたる休日の、けふ日盛りの山法師さへ色あせて、松の老木の梢より、糸を乱せる如き薄き煙の立ちのぼるは、木精こだまとか言ふものならむ。おぼろおぼろと陽炎に消えゆくまで、暑き日中の静けさは夜半にも増して、目も当てられざる夜間の星空が一面に広がれり。撮影地に選ぶは山梨が祖国にて、Niwa氏、星屋氏、layci氏が集まれり。

二十八歳ばかりのぐらすのすちが、草履の音を立てて
「Niwaさんや、Niwaさんや。雲が北天に居出来むず」
と呼びもて来つ。それよりガイドを確認せむとするなり。両氏雲が広がる様子を確認して、ガイドグラフを一瞥し、「あなや!」と驚けり。とかうして、この空に雲が鈍く立ち込めしとき、太き息つきて立ち止まりぬ。

蚯蚓の如き星像を見て、「珈琲を飲もう」とお湯ぞ沸かし啜れば乍ち空晴れめ。Niwa氏の生誕、皆珈琲で祝いつゝ晴れを待ちぬ。

お天道様も、あはれしをぢさん三人のすがりつきて、いまは雫ばかりなる目元に星の瞬きを齎しつ。腰元腕を緩めたれば、顔のけざまに、うつとりと目を見開き、キイボオドを押したる手を放ちて、をぢさんを呆れてぢつと見つ、うなづくはしに、がつくりと咽喉に珈琲が通りて、桐の葉越しの月影薄く、山法師の色、淋しき笑顔に写りぬ。

今回の撮影対象と使った画像処理について

5月3日~4日にかけては、NGC4631(クジラ銀河)とNGC4656(ホッケースティック銀河)を撮影しました。両者ともにりょうけん座にある銀河です。620mmの焦点距離では少し小さいですが、両方ともなんとか写野に捉えることができます。また、下限の月が24時から出始める中でも、薄明終了時にほぼ天頂と、十分撮影可能な対象です。さて、今回は

を主軸において試してみました。

このいちばんはじめのストレッチ法、Niwaさん、大顧問さんらと名称ほしいねと喋っていました。侃々諤々の議論の結果、Luminance-Chrominance Separated Stretchがいいのでは?という結論に達しました。いかがざんしょ。LuminanceとChrominanceで韻を踏んでいて(Niwaさん)、LCS Stretchと短くなって言いやすいですし。

また、「Deconvolutionしても銀河のコントラストが上がらないですよー」と嘆いていたところ、「HDR Multiscale Transform」使いましょうとNiwaさんから教えていただきました3。これが効果てきめん。HDR MTこれからヘビーユーザーになりそうです。

とその釣果

NGC4631 (Whale Galaxy) and NGC4656 (Hockey Stick Galaxy)

途中雲が出てきた影響で、ほぼ2hとそこまで長い総露光時間にはできなかったのですが、それでもまあまあいい結果ではないでしょうか。また、処理前に省いたはずだったのですが、写野内に建物の影が入ってきているコマがありました。再処理しておきたいと思います。

ワタクシの鏡筒では小さいですが、来春にまた撮ってみたい対象ですね。

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