敗走のウラシロダム天体撮影記

TL; DR

glasnsciです。久々に晴れた10/24~25の夜に、ウラシロダムへと撮影に行ってきました。その顛末についてお知らせします。もし、高画素機で生じる変なノイズのようなアーチファクトに知見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報ください

冷却カメラ怖い

万歳!
とうとう明日、購入のためにKYOEIに行けという命令を受け取りました。今か今かと待っていたところです。
今朝、知り合いの若い女性に会いました。
CMOS冷却機じゃないのを見られるのが恥ずかしいぐらいでした。
僕はもう、非改造機の人間ではありません。
こう言うときに、やませや前線のことを考えると、小さく、弱くなります。 天体写真や新月期のことを考えると、強くなれるのです。
--ドイツ人青年の日記

顛末

今年の初夏は一向に晴天に恵まれず、夏になんとか一度だけ撮影に行けました。秋もまた、天体撮影に行けないまま山並みのみがその赤を深くしようとしています。しかし、先の10/24(土)から25(日)にかけての週末は晴れました。昼間から抜けるような青空。文句なしの快晴です。

天体写真撮影に行けず鬱憤を溜め、やがては禁断症状を発して免許もないのに砥石を交換しようとしたワタクシに、安全巡視委員が待ったをかけようとしたのは至極当然の話です(嘘です)。

ところで皆さん、回転砥石の交換に資格が必要って知っていました?学生の頃に勉強しなければ僕は知りませんでした。ある日砥石が破裂する事故があったのですが、けが人がでなくても労基署に報告しないといけないんですね。その後、労基署に事故報告書を提出したと聞いて、けが人もいないのに労基に報告しないといけないのかと不思議に思いましたが、規則で決まっているそうです。

労働安全衛生規則
第九十六条 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第二十二号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
一 事業場又はその附属建設物内で、次の事故が発生したとき
  イ (略)
  ロ 遠心機械、研削といしその他高速回転体の破裂の事故

よく、工場では「油断一秒・怪我一生」と書いてありますよね。あれは「一秒でも気を緩めて怪我をすると、一生残る後遺症を負うことになるぞ」という戒めとして知られています。いっぽうで、中国語で「油断一秒・怪我一生」と書くと「油を一秒でも切らしたら、ワタシを一生責めてください」という意味になるそうです。怪我にしろ、油にしろどちらにせよ、現場泣かせですね。

まとめます1

撮影地紹介(のようなもの)

さて、今回はウラシロダムに行ってきました。大月ICから車を走らせること30分ほど。拡幅工事中の道路を抜けると、一面の闇です。ウラシロダムは街中から10kmほど離れていることもあって、なかなか空が暗いです。冬の天の川も結構くっきり見えます。M31もハッキリと目視出来ますので、少なくとも4等星は見えるということですね。

千葉県のダムなどの撮影地や天城高原などは熊が出ないのですが2、山梨はメッカです。ウラシロダムも野生動物が多分出ると思います。これまでに3回ほど訪れていますが同じ天文フリークとも出会わず、毎度熊用ステーキになるのではとビクビクしながら撮影していました。ところが先日は犬連れの夫婦が。ワンワンがいっしょだ~と一安心していたら、何やら様子がおかしい。天文フリークではないようです。10分ほどで去っていってしまいました。怖いので、車のヘッドライトをつけて、ラジオをガンガンに鳴らします。でも、準備をしているうちに、湘南の方から来られたという方が途中でいらっしゃいました。今度はむくつけき天文フリークです。慌ててライトとラジオを消しました。血液を送り込み怒張した二の腕でガッシとSE250を振り回していました。暗闇の中には光る白い歯が。朝まで撮影するとのことでした。これで安心。星屋さんはいらっしゃいましたが、描写は嘘です。

撮影の顛末2

いつもはCanon EOS 5D Mark IVを使っていますが、今回は初めてPanasonic LUMIX S1Rでガイド撮影しました。今日はMC-21(EF-Lのコンバーター)にSIGMA 70-200mm DG OS HSM | Sportで撮影。狙う対象はIC1805(ハート星雲)とIC1848(胎児星雲)です。いつもどおり北極星を導入して、極軸を合わせます。さーて、ボチボチ対象を導入しつつ撮影しようかなと思って30秒露光で試し撮りをすると、見事に流れます。まさかSkymemo Rが、たかだか200mm/30sのガイドに失敗するはずがありません。おかしいなあ、極軸があってないのかなと合わせ直すも、ダメ。何をどうやっても時間とともに星が流れていきます。星と一緒に、時間も流れました(大事なことなので二回言いました)。

無風の中、夜の底が暗くなっていきます。

もうだめだなあ。今日は撮れないのかあ。ぼうずかあ……今年の秋はダメだったなあ……とすべてを諦めて肉眼で星見をし始めてから数分経ったそのとき、ひらめきました。手ブレ補正がONじゃないか? と天啓が。OFFにするとガイドは絶好調。ワタクシもやる気を取り戻しました。おかげで、撮影を開始しました。先述の通り今回の対象はIC1805: ハート星雲と、IC1848: 胎児星雲です。しかしこの対象、相当に淡いのでカメラのライブビュー画面ではさっぱりわかりません。弁別できない。さっぱりわからない。わからないなあ。どうしよう。あーどないしよう。悩んでてもどうしようもないのでペルセウス h-\chi二重星団からテキトーに導入します。ここらへんのテキトーさは大顧問譲りですね。

ええい、ままよ。と、対象がよくわからないまま導入完了として、撮影を開始します。今回のガイド撮影では、7分露光(420sec露光)を試みました。

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7分露光、左下の切り抜き。このぐらいだったら及第点なのではないでしょうか。

ちょっと10分くらい仮眠するかと12時ころからフカシこみ、目が覚めると3時30分でした(これってよくあることですよね)。まあどっちかは写ってるだろ、とルンルンで家に帰りました。

S1Rの縞模様

どっこい、家に帰ってから画像を確認すると、戦慄。盛大な縞模様が現れています(図1)。

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図1 赤縞

別日に撮影したダーク(温度条件は異なりますが)には現れず、フラットにも、バイアスファイルにもこのような縞模様は写っていません。確定的ではありませんが、様々な意見からこの模様はモアレ縞によるものだと考えています。

星を固定撮影するときに、星の周りに偽色が発生することはよくあるそうです。微恒星のような位星が、画素を斜めに横切っていくので、補完処理をする際に偽色が発生するのが原因のようです。が、今回は赤道儀によるガイド撮影なのでちょっと異なります。おそらく、赤道儀のピリオディックモーションによる撮像素子上の微恒星や背景光のズレの振幅が、画素ピッチの定数倍になっているときに発生しているのではないでしょうか。まだ仮説の状態ですので、検証が必要だと思います3

撮影結果

長くなりましたが、結果を掲載します。まだ赤い帯が分かっちゃいますが、かなり改善しました。また、今回は冷蔵庫で撮ったダークを引いてあります4。結構星の色も出ていると大顧問nagahiro先生からもお褒めいただきました。やったぜ。 にしても、S1Rはよく赤い色が移ります

IC1805 (Heart Nebula)
date: 25th, Oct, 2020
location: FukashiroDam, Yamanashi Pref, JPN
optics: SIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sport
camera: Panasonic LUMIX DC-S1R with SIGMA MC-21
mount: Kenko skymemoR w/o auto guide
exposure: ISO1000, 420sec x22, F3.5

ひけらかさずにはいられない努力の名残

上記の結果はパワープレイによって得られたものです。もうやりたくない。

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涙ぐましいパワープレイ

11/1 誤字もろもろ修正


  1. まとまりません

  2. 熊を涵養できるような深い山地と接続されていないため

  3. 天リフ編集長山口さんが興味深い発言をされていました。どうやら、S1Rのこのノイズも中途半端ISOのせい?今度、ISO800/ISO1600で撮影してみようと思います。週末が待ち遠しい。

  4. あってないと思うけど、変なアンプグローみたいなのは消えました