箱根登山鉄道の険は天下の険

TL; DR

glasnsciです。曇ってやることもないので、4連休は箱根で撮り鉄に勤しんできました。 f:id:fornax:20201003190356j:plain

ベルA(高音)

先の4連休は晴れ間を見て星を撮りに行く予定でしたが、あいにくの曇り、雨。曇り、雨。雨雨、曇。曇り、時々晴れ。みたいな天気でした(ワタクシの印象です)。「晴れの日は、天体写真撮影に勤しみ、曇りの日・満月期は撮り鉄に勤しむべし」先祖代々から受け継がれてきた家訓です。glasnsci一族の業は深く、代々鉄に関することを生業としておりました。古くは鍬と鋤を握り、畑を耕してきたのです。わたしの母方の祖父は中学を卒業すると国鉄へ就職し、鉄道マンとしていきてきました。スコップを握り蒸気機関車の運転手を勤め、スジ屋になり、学がないながらも国鉄の助役になったと聞いております。国鉄に入営してから夜間高校卒業したようですが、大学は教授と折が合わなくてやめてしまったとか聞いております。どうやらワタクシが一部の学校の先生と折が合わずに紛争になる気質は祖父から受け継いだものなのかもしれません。

箱根登山鉄道・鉄道線

箱根登山鉄道が異様

箱根登山鉄道(箱鉄)は、小田急電鉄小田急)の資本が入った民間の鉄道会社です。小田原から強羅へと至る鉄道線と、箱根登山ケーブルカーとして知られる鋼索線の2路線を保有しています。小田原から箱根湯本までは、JRと同じ1067 mmの軌間狭軌)で線路が敷設されており、小田急ロマンスカーが乗り入れています。一方で箱根湯本から強羅までは標準軌の1435 mm規格となっています。これは、箱鉄鉄道線が最大80 ‰の勾配を上る1のに、狭軌幅では電動機が収まらなかったためと言われています。特徴的なのは駅での給水です。急勾配に加えて最小旋回半径が30 mと非常に狭いカーブを曲がるため、車輪とレールの摩耗を低減させる都合上水を撒くためです(油だと残って滑りすぎるため使えない)。また、箱鉄鉄道線の入生田駅近辺は留置線として車庫も兼ねているため、両方の車両が入線できるように三線軌条となっていってます。さらには、スイスのレーティッシュ鉄道と友好関係を結んでおり、互いにその塗装を模した車両を運行させています。箱鉄鉄道線では、アレグラ号やベルニナ号などがあります。

国内での様々な輝かしい記録を持つ一方で、箱根登山鉄道は土砂崩れによって前線が普通となる大きな災害を2019年10月に被りました。

台風19号による受難

台風19号、ハギビスです(以下台風19号)。忘れがちなので備忘のために記述します。内閣府は本台風によって生じた災害を、令和元年東日本台風と名付けました。台風19号南鳥島の沖合で発生し日本に接近しました。台風(2018年台風7号)が前線を刺激して発生した西日本豪雨のように、主たる被害は長雨によって発生したのでした。デジタル台風では、台風19号によって広い範囲が浸水した理由を、以下のようにまとめています。

  • 台風19号は雨雲の規模が非常に大きかったため、広域にわたって強い雨が半日から1日程度続いた点に特徴があると言えます。
  • そこで台風201919号による大雨(2019年10月)に、今回の台風による大雨の状況をまとめました。今回の大雨の特徴は、関東から東北までの山地で長時間にわたって同じ場所で豪雨が続いた点にあります。これは巨大な台風の周囲を吹く南東からの湿った風が、台風が接近するはるか以前から山地にぶつかり、雨雲を次々に発生させたところに原因がありそうです。
  • 記録的な雨量により各地で洪水が相次いだことは残念ですが、一方でダムや堤防などの治水が果たす役割も大きく、治水の進展によって被害が軽減できた面もあります。各地のダムは制御を工夫して水位の上昇を抑え、試験中の八ッ場ダムも急きょ貯水を開始して治水に貢献しました。

agora.ex.nii.ac.jp

台風19号が本州に接近し、上陸したのは10月11日~12日の週末でした。ワタクシはこのとき出張の休みを利用して故郷の宮城に帰っており、実家の勝手口裏にある小河川が溢れやしないかと国交省の河川水位計を夜中ずっと見ていました。結局は25時を過ぎて降雨もピークを過ぎてきた頃に水位計も堤体越流まで0 cmでとどまり、安心して寝られたのでした。実際、目視で確認すると溢れていましたけど、道路が浸る程度だったのでまだ幸いだったといえます。一方、朝起きてみるとニュースは河川の氾濫や土砂崩れ、行方不明の話で溢れかえっていました。ワタクシのふるさと、宮城県阿武隈急行線が土砂崩れで全線が不通になるなど、尋常ではない被害がありました。

鉄道の被害も大きなものでした。長野の新幹線車両基地では、W7・E7系が計10編成浸水し廃車となりました。北陸新幹線は勾配が大きいことや周波数が異なる地域をまたぐなどで単純に東北新幹線などから車両を引っ張ってこられないなど影響が長引いています。先述したように、阿武隈急行線も全線が不通になり、箱根登山鉄道も、大平台~小涌谷区間で軌条が流出し、運休を余儀なくされました。

が、箱鉄鉄道線は1年も経たない2020年7月23日、9ヶ月ぶりに運転を再開しました。

箱根登山電車 全線運転再開「ワクワクが、帰ってきた。」【フルバージョン】

釣果

長くなりましたが、結果を掲載します。箱根湯本駅での発車メロディー、箱根八里をベースに組み立てました。まだ工事未完了の区間は残っていましたので、最後の方のカットに編成しました。今しか見られない、珍しい光景なのでぜひ利用してみてください。

date: Jan. 1st, 2020
location: Hakone District, Kanagawa Pref., Jpn
optics: SIGMA 24-70mm F2.8 DG DN|Art, Carl Zeiss APO Sonnar 135mm F2.0
camera: Lumix S1H


  1. 80 ‰の登攀は、アプト式やケーブルカーではない粘着式鉄道としては、日本で他に類をみません。