天城高原遠征記 -第2報-

TL; DR

glasnsciです。以前記事に起こした天城高原遠征の第2報です。次は射手座付近を掲載すると言ったな。あれは嘘だ。今回は、はくちょう座にあるNGC7000(北アメリカ星雲)とNGC5070(ペリカン星雲)の領域を掲載します。

はくちょう座の思い出

私は仙台高専天文部のOBということになっています。幽霊部員だったということにしてもらえばいいでしょうか。在学中に大顧問(だーぐーうぇん:da4gu4wen4)nagahiro先生の気まぐれによって、天体観測に勤しんだのは3回ほどありました。

1度は、本科のとき。奇怪科棟の裏でドブソニアンを使って火星を見上げた覚えがあります。2度目、3度目は、専攻科に入ってから。2度目はたしか、噴火警戒レベルを確認せずに磐梯吾妻スカイラインに行ってゲートがクローズド。諦めきれなくて観測条件が悪い蔵王に変えて、結局ダメでカップラーメンを食べたのでした。賽の河原まで行った帰りがすごい濃霧で、数メートル先すら見えない有様。ハンドルを握る先生はさぞ手に汗握ったと思います。最後は、蔵王の滝見台というところで、同期N氏・E.K.先輩1と4人で観測した覚えがあります。ワタクシはまだ天文に関して全く何もやる気がなく、ただ暗いところで星が見えそうだから夜遊びしようぜとついていったのでした。この時は、nagahiro先生が北アメリカ星雲を導入して、「赤いぞ!!革命的だ!!」と人気のない滝見台で、一人、小躍りしていたのでした。

なんとも懐かしいです。2015年9月19日、ワタクシが専攻科2年次のことでした。月日が流れ、2020年8月15日。およそ5年後に不肖の弟子も同対象に挑もうとしています。

だぼ氏とその衆徒

突然ですが、だぼさん(@dabo_pic)を紹介します。前回さらっと出てきた彼は、天文ガイドに入選するほどの(!)ワザマエの持ち主です。

恥ずかしながら、初心者のワタクシはまだ天球が頭に入っておらず、テキトーにカメラを向けて対象を導入しています。時間がかかるわ。めちゃくちゃかかるわ。撮影対象の導入時、射手座付近やはくちょう座付近を撮影するときにだぼさんから「そっちじゃねーよ、働け、カス!」(そんなこと言ってません)と的確な方角を教えていただきました。感謝。アリガタヤのヨセフです。

重要なのはそこではありません。だぼさんは、坂本真綾ファンなのです。また、当日、だぼさんはりゅーじんさん(@heartpainteriu)と一緒に来ていましたが、りゅーじんさんも真綾ファン。奇しくも、天城高原のむくつけき天文ファンの中に真綾ファンが少なくとも三人いたことになります。あなや!

だぼさんとTwitterで知り合ったときも「天文ファンでかつ真綾ファンの同志だ~!」と飛び上がらんばかりに喜んでたのですが、まさか増えるだなんて。あないみじのおもとたちや……。

撮影していて待っている間、だぼさんが持ってきていたR200SSで眼視させてもらいました。肉眼で見えない対象が写真でくっきりと浮かび上がるのも感動しますが、望遠鏡で大きく拡大されたのを接眼レンズから覗き込むのもまたそれはそれで感動します。接眼レンズを覗き込んで実際に対象がまざまざと見えてしまうと、眼視もいいもんだなあと心が少しぐらつきますね。ちょっと、やってみたくなりました。でも、新しい沼にハマりたくないので、眼視には手を出さないことにします。

3人で真綾談義をすることができたのも非常に有意義でした。これ重要。やっぱり、チロルチョコはサイコーだな!!

NGC7000とNGC5070

撮影してきた対象はNGC7000とNGC5070。はくちょう座にある散光星雲で、北アメリカ星雲とペリカン星雲として知られています。天の川上のにぎやかな領域です。いつもどおり、PixInsightでスタック。PCCとストレッチをかけていきました。前回のアンタレスが汚かったときに、nagahiro先生から「从头儿ArcsihnStretch功能尚不可用。颜色将饱和。我建议您使用AutoHistogram」2と指摘されたので、最初にAutoHistogramのLogarithmicで処理しました。その後、ArcsinhStrtetchをかけていると……。ムムム。

色が出ないです。

f:id:fornax:20200903204044j:plain
むむー。色が出ないぞ。困ったぞ。

悩んでTwitterでダダをこねていると、そーなのかーさん曰く「PCCは短焦点で色が破綻する傾向あり」「ColourCallibrationを適用せしめよ」。ColourCallibrationを使ったことがないので、恐る恐る適用します。いやまてよ、BackgroundNeutralizationで背景も黒くしておこう……と画像をこねくり回し、最後にStarMaskで星を小さくして、彩度の強調をかけました。

毎度茶番と前置きが長いですが、結果を掲載します。

NGC7000: North America Nebula
date: Aug. 15th, 2020
location: Amagi Plateau, Shizuoka Pref, JPN
optics: Carl Zeiss APO Sonnar 135mm F2.0
camera: CANON EOS 5D Mark IV (Unmodified)
mount: Kenko skymemoR w/o auto guide
exposure: ISO1600, 90sec x66, F2.0

こうしてみてみると、でゅわー!失敗した!と思います。パープルフリンジが星の周りに発生しています。おそらくピントがずれたのだろうと思います。何しろ高原とはいえ、到着時はセ氏30度近い気温でした。夜中には高原の常の放射冷却で20度以下まで下がったので、ピントがずれてもおかしくはありません。nagahiro先生は、温度計を使ってピントがずれる可能性があるときは確認しているそうです。ナンテコッタイ。もっと早く聞きたかった。

以下諸氏の御名を記して謝意を示します。だぼさん、りゅーじんさん、そーなのかーさん、nagahiro先生。

次回予告

今度こそ射手座付近を現像します。


  1. E.K.先輩は天文部の正会員でした。当時は卒業されていたのでOBですね。

  2. 「最初からArcsinhStrtetchを使うと、色が飽和するので、AutoHistogramを使うといいですよ」