TL; DR
電子方向幕を切らさないためには最低でも1/100 secより長いシャッタースピードで撮影すべし。安全を期すならば1/50 secで撮影すべし。
はじめに
glasnsciです。度々撮り鉄記事を起こしておりますが、鉄道写真のお作法に電子方向幕を切らさないというものがあります。本稿では、電子方向幕を切らないためのお約束について紹介します(今日は怪文書はなしです)。
電子方向幕について
方向幕は、鉄道車両の前面あるいは側面に設置されている、行き先を知らせるための幕(行先表示機)です。方向幕は字面通りに行き先が布や紙、プラフィルムに印字されている物理的な幕(ここでは機械式方向幕と呼んでおきます)の場合と、LEDによって行き先を表示する電子方向幕と二種類あります。
それぞれ利点や欠点があって、機械式の場合は
- 可動パーツがあるので故障しやすい
- 保守点検が面倒
- 表示している間は電力を消費しない
- 自ら発光しないので灯火で明るくしなければ待合客は弁別できない
など、欠点は主に故障や点検のリスク・煩雑さがあります。対して電子式の方は利点欠点が相反する恰好です。
電子方向幕の鉄道撮影における欠点
一方、鉄道車両を撮影するにあたっては、LEDの性質が重要となります。LEDは人間が弁別できない極短時間(およそ100~120 Hz)で発光と点滅を繰り返している(明滅している)のです。そのため、シャッタースピードが早すぎると電子方向幕では真っ黒になったり方向幕の途中から表示されなくなるすることがあります。
方向幕は定常表示されているわけではなく、もちろん行き先が切り替わります。電子方向幕も行き先の切り替わりに対応するため、表示を切り替える必要があります。ブラウン管のように常に走査しており、シャッタースピードが早すぎると電子方向幕の途中から見切れてしまうのです。えらいこっちゃやで。
電子方向幕の見切れをなくすには?
しばしば鉄道写真ではシャッタースピードを1/50sec以上にせよ!と声高に叫ばれていますが、以上示した例では1/500secでOKだったりするので、鉄道会社や車両によって走査の周波数がまちまちなでしょう。
そこで、いい参考先を見つけました。 panproduct.com
上記のブログでは表示器によっては1/500でも見きれない場合もあるが、E657系(ひたちとかときわで走ってる車両)では1/50で見切れがなくなったそうです。
撮影していると1/100程度で見切れる車両もありましたが、概ね1/60以上の長さでは適切に撮影できていたと思います。これまでは、1/60で取ればギリギリ手ブレも抑えられて電子方向幕もカッチリ撮影できて申し分ないかな、と思っていましたが、車両によっては1/50でやっと見切れがなくなる車両もあるようです。
経験則を踏まえれば1/60以上、安全を期すならば1/50以上の長さで撮影するのがベターということでしょう。また、あまりに望遠なレンズの場合には1/100以上という逃げの手段もあります。